今回はNitro+が製作したゲーム「沙耶の唄」の感想です。
原画・中央東口、シナリオ・虚淵玄と、正に非の打ち所のないゲームです。
短めの内容に相まって値段が4,800円とお求め易くなっているのも特徴ですね。
最初に言っておくと、この作品にはグロ描写が満載です!
そういったものが苦手な方はご注意ください。
ネタバレは基本ありません。
今回は攻略サイトは利用しませんでした。
選択肢が殆どない(2箇所)ので、すぐにフルコンプ出来ると思います。
個人的なお勧めは「取り戻したい」で1つ目、
「もういらない⇒涼子に電話する」で2つ目、「もういらない⇒郁紀に電話する」で3つ目、
という風に見るのが良いと思います。
・ゲーム
オーソドックスなADV。ストーリーを読みつつ選択肢でEDが分岐します。
といっても上記の通り選択肢は物凄く少なく、全体のボリュームも少なめ。
システムはおおまかには問題なし。
既読・未読スキップ、オートモードの速度調整、キャラ毎の音声ON/OFFはありますが、
バックログからの音声再生ができず、また右クリックでバックログ画面から戻れません。
ログから戻るのに画面上でクリックしないといけないのはNitro+の伝統なのでしょうか。
これは毎回やることになると結構不便なんですよねー。
あと設定でグロ描写をソフトにしてくれるものもあります。
が、私はこの機能を使わなかったのでいまいちどんなものかわかりません(^^;)
まあグロ苦手な人でこれに手を出す人はあまりいないでしょうし、まあいっか!
総プレイ時間は5時間ほど。
低価格ということもあり、やはりボリュームは少なめですね。
パッチなどは無いようです。安心してプレイを始めましょう。
・ストーリー
医大生の匂坂郁紀は、交通事故に遭い生死の境をさまようが、奇跡的に助かる。
しかし、大学に復帰した匂坂は、
故意に嫌われる様な言動をとり、自分の周囲から人を遠ざけようとする。
友人達は彼を心配するが、
匂坂には彼らから差し伸べられる救いの手にすがれない訳があった。
交通事故の後遺症で、街の建物は豚の臓物をぶちまけて塗りたくった様に、
人間はおぞましい肉塊に見え、話す言葉は呻き声や金切り声に聞こえ、
触れた感触ですら尋常ではないからだった。
自分以外は全てが異常で狂いそうになる世界の中で、
匂坂の前に沙耶という謎の少女が現れる。
沙耶だけはなぜか普通の人間に見え、粘液にまみれた肉塊姿の友人たちと違い、
触れたときに温かみを感じることもできた。
しかし、それは狂気の世界への扉にしか過ぎなかった。
(wikipediaより引用)
壊れてしまった主人公が、壊れてしまった世界の中で必死に足掻く話です。
汚らわしい世界への絶望、かつての友人達への嫌悪、
そんな中でただ一人美しい存在である沙耶への依存、裏返して沙耶を失うことへの恐怖。
非常にグロテスクでありながら、限りなく純粋な愛。
少ないボリュームながら、だからこそシンプルに研ぎ澄まされたシナリオ。
狂気に焦点を置いた、醜く儚く美しいストーリーです。
が。
これはグロ耐性ない人には正直きついゲームですね。
まあジャンルが「サスペンスホラーADV」となっているので
そういったものが苦手な方は基本的に手を出さないと思いますが。
(ネタバレ反転⇒)カニバリズムが平然と出てくるあたり、凄い作品ですね。
自分があるから世界が存在するのか、世界があるから自分が存在するのか。
前者を是と出来る方は楽しんでプレイすることが出来るでしょう。
後者の方は、感情移入が難しくなるので心から楽しむことは出来ないかもしれません。
何はともあれ、個人的には非常にツボにはまったストーリーでした。
グロ耐性があり、悲劇が好きな方は是非プレイしてみてください。
・キャラ
基本的に萌えという感情を刺激するキャラはいません。
強いて言うならば沙耶が萌えキャラということになるのかな。
個人的には沙耶は大好きなんですが……世間一般に通用するかというと微妙なところ。
誰もが人間的な弱さを持ち、
その弱さを恐怖で糊塗しながら必死で自分の世界を守ろうともがきます。
逸脱した世界の中で足掻く矮小な人間、それが面白さの鍵ではないかと。
(ネタバレ反転↓)
全員が非常に人間臭いからこそ、到達してしまった主人公の凄みが際立ちますね。
・エッチ
回数的には片手の指で足りる程度で、フェラやパイズリなど
なかなか濃いシーンもありますが、実用度はほぼ皆無です。
まあ脳内変換が可能なら大丈夫なんでしょうが、私には無理でした。
・CG
素晴らしいの一言。
グロさと美しさが共存する世界を見事に表現してくれています。
狂気に侵されてしまった人の表情がまた良い!
・総評
評価:A+
シンプルながらも非常に面白いゲームでした。見事に私のツボに合致。
あまり語るのも無粋になりそうなので、最後に一言。
ここまで心震わされたゲームは久々でした。グロに耐性のある方は、是非。
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ここから先はネタバレ全開です。閲覧には注意をお願いします。
キーワードは「狂気」。
狂っていることを自覚しながらも、沙耶のため、狂った自分を肯定する。
シンプルで、だからこそ鮮烈な、狂気の物語です。
もうね、こういうのを読んでしまうと、
只の萌えゲーがプレイできなくなるんじゃないかと不安で仕方が無いです。
物語の緊張感のレベルが違いすぎる。
ここまでの強烈なインパクトは、萌えでは絶対に出せない。
まあのんびりとしたストーリーも、それはそれで面白いものだけれど、
やはり自分の趣味としてはこういった極限まで張り詰めたものがいいなぁ、という感じ。
低価格だから短いのではなく、短いからこそ低価格。
おそらくこの作品は、一見短いこの量だからこそ完成しているのだと思います。
極限まで研ぎ澄まされたストーリー。
文句のつけようが無い。
グロがあることで敷居を上げている感は否めないですが、
グロを抜いてしまうと、この狂った世界感まで緩んでしまいそうなので、
そこのところは一長一短といった感じですね。
しかしまあ、Fate/zeroの後書きで虚淵氏自身が言っていましたが、
本当に本当の意味でのHappyEndを書けない人なんだなぁ、と思いました。
3つあるENDのどれもが、どこかしら若しくは全てに悲劇的な要素を含んでいます。
個人的には安易なHappyEndに走られるよりは良いのですが、
グロと同じくこういったことも一般受けしにくい理由なのかな、と思ったり。
みなさんはHappyEndが好きですか?
と、唐突に疑問を投げかけて今回はここまでー。
「沙耶の唄」感想
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