今回は「Nitro+」様の新作、「月光のカルネヴァーレ」の感想となります。
今回利用させていただいた攻略はこちら。「Gamer's Square」さまに尽きぬ感謝を。
基本的に大きなネタバレはしないと思います。
・ゲーム
オーソドックスなADVゲーム。
シナリオを読みつつ選択肢を選び、それを元にして分岐するタイプのゲームです。
意外と分岐が多かったり、ゲームオーバーに直結する選択肢もあるので
上記の攻略サイトを見つつプレイするのがお勧めです。
わざとサイトを見ずに、いかに主人公が殺されるかを楽しむのも一興ですが。
システム面について。
既読・未読スキップ、バックログからの音声再生、キャラごとの音声ON/OFF、
自動文字送りなど、必要なものは一通り揃っています。目立った不満点はありません。
バックログから戻る際に右クリックでは戻れないことが多少面倒ではありました。
あと、毎回書いているのですが、クリックしても音声再生継続は欲しいところです。
たまに実装してくれている作品もあるのですが、まだまだ少数派ですね。
Nitro+作品には昔からある「スキップ時、描画しない」という設定もあります。
これはNitro+以外では見たことがないですね。
あとメッセージウインドウが画面下部に固定ではなく、立ち位置で微妙に動きます。
デモンベインはこうでしたっけか?
その弊害か若干文字が小さめなので、ウインドウではプレイしづらいかもしれません。
それ以外特に悪いところは見当たりませんでした。
・ストーリー
公式に「ゴシックノワールADV」とある通り、
退廃的で、陰鬱で、それでいてどこか美しいストーリーとなっています。
序盤は退屈で貧乏ながらも楽しい日常が描かれ、
中盤からは欠けていく仲間との繋がりをメインにシリアスに描かれていきます。
命の狙い合いは当たり前、裏切り下克上どんとこい。そんな世界観です。
主人公も、オルマ・ロッサも、そして鳥兜も、
それぞれが一度終焉を迎えていたり、向かっていたりするので、物語全体が退廃的。
それでもそれぞれが曲げられぬ信念を持ち歩む様がかっこよく、美しく見えます。
テーマは「仲間」かな。
「狼は群れを離れては生きてはいけない」ですね。
過去の仲間と現在の仲間との間での葛藤、それが物語の主軸となっています。
全体的に山場が散りばめられていて、緊張感を失うことなく読めるのは良い感じ。
中だるみも少なく、楽しみながら最初から最後までプレイすることが出来ました。
男性陣・女性陣共に皆それぞれ見せ場をしっかりと持っており、
どのルートに行っても影が薄くなることがあまりないのも好印象。
難を言えば、ロメオが設定ほどに強く見えないので、爽快感がないんですよね。
どのシーンでも苦戦して死にかけて……。
1つぐらい相手を圧倒するようなバトルがあってもよかったかも。
まあでもそれ以外には文句つけるところが少ないですね。うーん良作。
プレイ時間は共通が6~7時間、
そこから更に分岐して1ヒロインあたり4時間と言った所でしょうか。
音声をしっかりと聞いていると1.5倍くらいにはなるかもしれません。
意外と個別ルートが長くてびっくり。しかもそれぞれで完成度がかなり高いですし。
お勧めプレイ順は、
ノエル⇒レベッカ⇒ルナリア⇒アンナ
ですかね。それぞれ2つずつあるのは、まあ適当に。
・キャラ
男キャラには燃え、女キャラには萌えられます。
いやもう冗談じゃ無しに、それぞれが良い味してます。
皆が皆それぞれに達成したい目的があり、
その目的に向かって血を流しながら邁進する様はカッコ良いの一言。
特に男キャラの熱さ・渋さは筆舌に尽くし難い。
多分見てて一番苛々するのは主人公のロメオなんじゃないですかね。
公式にもあるとおり、そこはやはり「負け犬」。どこか根性が足りません。
最後の最後までぐじぐじうだうだしていることも少なからず。
でもまあ、気の良い三枚目主人公としては良い味出していると思います。
最後には立ち直りますしね。
個人的なお気に入りはグリエルモ。
人間としては(人狼ですが)歪んでいるのかもしれませんが、
あの徹底した信念はやはり素晴らしいと思います。
いまいちなのはレベッカ。うんまあ、勝手だよね。
・エッチ
数は多くないです。各ヒロインに一つずつプラスαぐらいです。
エロシーンに期待して買うようなゲームではないですね。
ルナリアのシーンはキャラ愛で興奮できましたが。
・CG
雰囲気が凄い。
実写や3DCGなども使った、非常に美麗な映像ばかりです。
ここまでCGや背景などに感心したのは正直初めてですね。
ゴスロリチックな衣装も作品の雰囲気に絶妙に溶け込んでいます。
・総評
評価:A
燃えゲーとしてかなりの傑作。
戦闘シーンに若干爽快感が足りないのが残念ですが、
それを差し引いても人間関係の熱さややりきれなさが最高です。
今年度シナリオ部門(私の)では多分一番になるのではないかと思います。
熱いと一意に括れるものではなく、渋さや儚さも兼ね備えた傑作。
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ここから先はネタバレ全開です。閲覧には注意をお願いします。
んでこっからはいろいろだらだらと。
ストーリーについて。上にも書いてるけどね。
熱いけど退廃的な感じが強いから、期待していたほどには盛り上がれず。
でもまあ、それ以上に惹きつけられる要素が多いのですげー満足でした。
個人的に好きなのはレベッカルート以外。
本当に、全部が全部甲乙付け難いぐらいに面白かったです。
レベッカも悪くはないんですが……どうにもレベッカ自体が好きになれないので。
むっちり系だしね!
んで、それぞれのEDが終わった時に書いていた感想がこれ↓ プレイ順ですね。
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アンナが人間に(そして狼に)なるEND、人形のままのEND。
どっちも甲乙付け難い。どちらも良いところがあり、そして良くないところもある。
二者択一では選びきれない、しかし選ばねばならない。
悲しい、そしてだからこそ美しいストーリー。大好きです
ノエル死亡ED。
もうまじ、あまりにも卑怯。涙腺を緩ませるにも程がある。
アンナが記憶をなくして、それでも日常を忘れぬようメモに書いたところとか、
土壇場になって歌を思い出して、瀕死の身体が動くようになるところとか。
もう駄目だー。卑怯卑怯。面白すぎて涙が出る。
ノエルED。
ちょ、なにこの良いシーンの後のエロシーン。
しかもすげーギャグ展開w 狼化しても千切れない銀の手錠をあっさりと。
こ れ は 酷 い !
それまでがむしろシリアスでかっこよかっただけに台無しだ!
いやまあ面白かったんですけどね。マジで男陣かっこよすぎ。
爺さんがあれだっつーことは、まあ結構初期段階で勘付いていました。
わかりやすいっちゃわかりやすい
レベッカED。
レベッカの罪もいまいち許される理由がわからないし。
まあそこそこ面白かったっす。アルジェントの中でペルラが選ばれたのには納得。
あとはガキとおばさんだもんなぁ。それなら猟奇無表情メイドを選びますわ。
ルナリアルート。
結局アンナはルナリア消されたけど、
自分には他に歩んでくれる人がいないからともに歩もう、っつうことかな。
実際はその建前以上に、アンナに並ぶくらいに大事な存在となっていたんでしょうが。
だけど犯した罪は消えないから、庭園での戦いでけじめをつけた。
こうして書いてみるとまあおかしくはないんですが、
いまいち釈然としない気分が残るのは一体なぜなのか。
多分アンナとルナリアが天秤で釣り合うという所が納得いかないのかな。
片や1年以上共に生活してきた仲間、もう片方は出会ったばっかりの知り合い。
んー、釣り合う理由がないな。ロメオがド級のマゾだった、とかかな。
まあそれでいいか。いいわけがない。
いまいち釈然としないんですが、まあルナリアが可愛かったので良しとします。
いいのかそれ。
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ここまでがプレイした直後の感想です。
こうして見るとあからさまにレベッカの扱いが悪いですね。
というかそれ以前にまともな感想になっていない。まあいつものことです。
改めてみると、どの感想でもほとんど苦言を呈してないですね。
冷静になって思い返してみても、こうして興奮している状態で書いた感想を見ても
ほとんど文句を言う(言っている)ところが見つかりませんもんねー。
ほんと、久々に良い作品に出会いました。
で、適当にキャラに対しての雑感。
ロメオ。
面倒くさがりな三枚目主人公。負け犬人狼。犬人狼ってこれまたすごいな。
キョンですね。
この気の抜け方は結構良い感じの主人公なのではないかと。
へたれすぎてもいないし、かといって熱すぎてもいない。良い塩梅。
戦闘シーンでいまいち強く見えないのが駄目だったかな。
結局突進するか変身して暴れ狂うかのどっちかですもんね。
もっと技法とか戦術を使った戦闘が見たかったです。
アンナ。
ほのぼのぼけぼけキャラ。献身メイド。
最初は苦手なタイプのキャラかと思ったんですが、後半になると許せてきました。
主人公との掛け合いが良かったんでしょうね。
ロメオが良い三枚目だから、他キャラとの関係性が面白く思えるんでしょう。
戦闘ロボっつーのは予想通りだったんで別に良いんですが、
もうちょっと技とか掛け声とかを凝っても良かったんじゃないかなー。
結局杭を撃ったり、身体を覆ったりするだけですもんね。
ノエル。
ロリボーイッシュ。最弱(多分)人狼。
信頼したり裏切られたりと忙しい人。どのルートでも戦闘ではへたれ扱いで可哀相。
なんかいまいち特徴がなくて覚えてない……。
レベッカ。
コルナリーナとたった2人のお姉系。偏執人狼。
自分勝手ですね。いまいち好きになれません。
周りにマルカントニオやらイリスやらシルヴィオやら
好意を寄せてくれる人が結構いるのは恵まれているなぁ、と思います。
ルナリア。
ツンデレツインテール。縞パンメイド。
とりあえず今作で私が一番好きなキャラ。いかにもですね。
なんつーか、キャラだけ見れば普通なんですが、絵が素晴らしい。
キャラとイラストが合わさった時、ルナリアは屈指の萌えキャラとなる……っ!
シナリオ的にはアンナ・ノエルに比べると若干微妙な感じはしましたが、
それを補って余りあるほどキャラが素晴らしかったです。
さっきからそれしか言ってないな。
戦闘が軽やかで、主人公サイドでは唯一面白い戦闘シーンを披露してくれました。
どうにもロメオ・ノエル・レベッカという人狼陣の戦闘は地味なんですよねー。
あと、かたくなに見せなかったパンツが縞々だったときは、
このキャラ設定を考えた人はわかってるな!、と思いました。
カルメロ。
カリメロじゃないよカルメロだよ。今作のキチ○イ担当。
いわゆるDr.ウエストのような狂言廻しの役割を負っています。
全体通してみると、ウエストほどは活躍できなかったなという感じですが。
意外と義理堅かったり、頭がキれるシーンなどは素直にカッコいいと思いました。
もしかして男キャラの中では一番かっこいい?
「幻覚とは10年以上の付き合いです!」(うろ覚え)のシーンには吹き出しました。
全てのストーリーで報われない最期を遂げているのは可哀相ですね。
コンシューマに移植する際はそこらへんを補填してくれるよう希望します。
多分移植するでしょ?
戦闘が人狼のなかでは一番映えます。つーか他が地味すぎるんですよね。
シルヴィオ。
自分が小物だと気付いてしまった小物。ロメオに対する偏執ぶりはレベッカ並。
悪役なんだけど、いまいち憎めない人。
周りの行動の割を食ってばかりいるような印象ですね。特にレベッカの。
戦闘シーンもナイフ振り回すだけでいまいち芸がない。
グリエルモ。
冷酷おっさん。顔は地味なのに意外とどのルートでも重要な位置に来る人狼。
ここまで一貫されていると憎みようがないですね。
その場その場で最善の答えを追い求めているから、ころころ対応が変わりますが。
結局ロメオってグリエルモにまともに勝ったことないんじゃね?
ヴァレンティーノ。
若い頃がかっこよすぎて、今も渋いという非の打ち所のない爺さん。
老いがなければ、いくら時代遅れとはいえオルマ・ロッサはもっと保ったことでしょう。
この人の生き様に比べたら、ロメオっていまいちしょぼいよなぁ、と思います。
何人の命を背負って生きてきたんだろう。
ペルラ。
無表情ゴスロリ。残酷猟奇メイド。
この人のルートがなかったことが悔やまれてならないキャラ。
レベッカ削っていいからペルラルートを(略)
他の銀貨もそうだけど、戦闘シーンが派手で見栄えがするよね。
ジェルマーノ。
まあ途中から気付くけど、あの人です。
もうちょっと活躍の場が欲しかった気もしますが、
あまり前に出てくるよりはこのぐらいのほうが良かったのでしょう。
ピウス。
小物。殆どのルートで裏切りで死にます。
この人結局何がしたかったんだろう。5枚揃えてもあんなことになるだけだし。
いまいちよくわからないなぁ。
このぐらいか。長くなりすぎましたね。
まあとにもともかく素晴らしいゲームでした。
背景とか音楽も、久々に心に残るような出来。雰囲気だけでもプレイする価値がある。
カッコいい男が好きな人にはお勧め。
最後に声を大にして言いたい。
ルナリアに足コキされるシーンが見つからないんですがバグでしょうか?
ペルラに調教されるルートがないんですがバグでしょうか?
「月光のカルネヴァーレ」感想
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